こんにちは。
大阪市北区の動物病院、【同心動物医療センター】です。
ワンちゃんは、温度調節のために口で呼吸することも多くみられますが、猫ちゃんはよほどのことがない限り口呼吸を行いません。
もしも猫ちゃんが口呼吸をしていたら、注意すべき症状が出ているときです。
今回は、猫ちゃんが口呼吸をしているときの状態や病気について説明します。
あらかじめ口呼吸になる原因や対処法を知っておくことで、猫ちゃんを病気から守りましょう。
院長 中島 健介
所在地:〒530-0035
大阪府大阪市北区同心2丁目15−4
Contents
猫の口呼吸は要注意!その理由は?
動物の呼吸器官は鼻です。
人間が口呼吸をたやすくできるのは、直立二足歩行をしているためです。
4本足で歩く動物は、口は食べ物を食べるための器官として発達しているため、基本的に口呼吸を行いません。
猫ちゃんも、もちろん鼻呼吸をします。
もしも猫ちゃんが口呼吸をしている場合には、鼻呼吸ができないことが理由です。
鼻がつまっていたり、病気になっていたりする場合や、興奮している場合、一時的に激しく運動した場合などが考えられます。
激しい運動で息が上がっている場合は、通常であればしばらくすると元通りの呼吸に戻り、そのような場合は心配いりません。
しかし、それ以外が原因で口呼吸をしている場合は、注意が必要です。
猫が口呼吸をしているときの原因
猫ちゃんが口呼吸をしているときの原因は、いくつかにわけられます。
病気だけでなく、ストレスでも口呼吸になることもあるため、その場合には飼育環境を改善することが必要です。
猫ちゃんが口呼吸になる原因を、以下にまとめました。
心臓や血液の病気
心臓や血管に異常があると、血液を全身にうまく行き渡らせることができなくなります。
心臓の病気の一つ、心筋症は、猫ちゃんに多くみられる病気です。
心筋症は、三つに分けられます。
一つ目は、心筋が大きく肥大化し、心臓の内部を狭めてしまうことで血液を送り出す量が減少してしまう肥大型心筋症です。
二つ目は、心筋が伸びてしまって血液を送り出す力が弱くなる拡張型心筋症、そして三つめは、心筋が硬くなって血液をうまく送り出せなくなる拘束型心筋症です。
いずれも、口呼吸の症状がみられたときには心筋症が進行している状態で、そのほかにも咳をしたり、後ろ足を引きずって歩いたり、症状が重くなると失神することもあります。
肺に水が溜まって、肺を広げられなくなり、呼吸が荒くなります。
鼻で息ができないというよりも、胸が圧迫されるせいで口呼吸になるのです。
気管支や肺の病気
風邪を引いていたり、肺炎を引き起こしていたりと、呼吸器系に問題が生じている場合に口呼吸をします。
鼻だけでは酸素をうまく取り込めなくなり、口呼吸に頼っている状態です。
風邪や肺炎の場合には、口呼吸だけでなく目ヤニや咳、くしゃみ、鼻水、発熱といった症状もみられます。
熱中症
あたたかくなって、猫ちゃんがぐったりとして元気がなく、口で呼吸をしている場合には熱中症が考えられます。
猫ちゃんは人間よりも暑さへの耐性がないため、春以降は室内であっても熱中症に注意が必要です。
熱中症の症状が重くなると、嘔吐や下痢、震え、まっすぐ歩けなかったり起き上がれなかったりといった症状がみられます。
さらに症状が進むと、体温が下がらず、意識障害や多臓器不全に陥ることもあり、大変危険です。
鼻づまり
人間と同様に、猫ちゃんも鼻づまりを起こします。
鼻づまりは、感染症やアレルギー、副鼻腔炎などが原因として考えられます。
ごくまれに、異物が入っている場合もありますが、猫ちゃんの場合は可能性として低いのです。
猫ちゃんは、鼻に頼って生活している部分が大きな生き物です。
猫ちゃんにとって鼻は、呼吸や感染症を防ぐだけでなく、食べものを食べられるものかどうか判断したり、温度変化を感知したり、コミュニケーション手段としても活用します。
鼻づまりを起こしていると、それらを十分に行うことができなくなってしまうのです。
鼻づまりと同時に食欲不振、元気がないなどの症状がみられるときは、早めに動物病院で診察を受けましょう。
ストレス
猫ちゃんは、ストレスで恐怖を感じたときや興奮状態になると、口呼吸をすることがあります。
猫ちゃんのストレスになりやすいのは、以下のような場合です。
- 動物病院などの苦手な場所に連れて行ったとき
- 知らない人やワンちゃんが近づいて接しているとき
- 初めての場所に連れて行ったとき
- すぐ近くで大きな音がするとき
強いストレス下で口呼吸を始めたときには、なるべく早くその環境から抜け出せるようにしてあげましょう。
猫が苦しそうに口呼吸をしているときの対処法
猫ちゃんが口呼吸をしているとき、原因がはっきりとわかっている場合には、その原因を取り除くための対処をします。
しかし、原因がわからない場合には、安静にしてしばらく様子をうかがうことが必要です。
具体的には、以下の点に注意して観察してください。
- 室温・湿度が高いようであればエアコンで調節する
- 猫ちゃんのお口の中や舌の色を確認する
- 鼻がつまっている場合には、鼻水などを綿棒や柔らかい布でぬぐってあげる
激しい運動のあとの口呼吸であれば、しばらくすれば落ち着きます。
ストレスが原因の場合も、ストレスを取り除くことでおさまることがほとんどです。
しばらくたっても口呼吸がおさまらなかったり、そのほかの症状がみられたりする場合には、病気が原因である可能性があります。
そのような場合には、動物病院に連れて行く準備をしましょう。
口呼吸は動物病院に連れて行くべき?
しばらくたっても口呼吸がおさまらないときは、動物病院で診察してもらいましょう。
また、熱中症が疑われる場合も同様に、なるべく早く動物病院で治療をしてもらう必要があります。
こんな症状は要注意!
口呼吸のほかに、以下のような症状がみられた場合には、特に注意が必要です。
- 呼吸数が明らかに多く、肩で呼吸している
- 鼻を膨らませて呼吸している
- お口の中が真っ白になっていたり、舌が青紫色になっていたりする
- 口呼吸以外に鼻水や目ヤニといった症状がみられる
- 元気がなくぐったりしている
- 発熱している
これらの症状がみられたら、病気の可能性が高いです。
獣医師に症状を説明して、診察を受けましょう。
熱中症もすぐに動物病院へ!
熱中症の場合は、軽度であっても動物病院で診察・処置を受けることが大切です。
熱中症は、その場ですぐに症状が出なくても、あとから症状が出たり、後遺症があらわれたりするためです。
熱中症は、屋外でなくても屋内で発生する確率が高く、猫ちゃんの熱中症の約半数が、室内での発症です。
熱中症の症状は、以下のようなものがあります。
- 元気がなくぐったりしている
- よだれをたらす
- 目のふちや鼻などの粘膜部分が赤い
- 食欲不振
- 嘔吐、下痢
- 痙攣
- 意識障害
熱中症が疑われる場合には、まずは猫ちゃんの身体を冷やしてあげましょう。
涼しい場所に移動させ、濡らしたタオルをかけたり、布でくるんだ保冷材で首や手足の付け根を冷やします。
症状が落ち着いたら、動物病院に連れて行きます。
移動させる際は、猫ちゃんの負担にならない体勢を心がけましょう。
口呼吸になる前に気をつけられること
猫ちゃんの口呼吸は、場合によっては防ぐことが可能です。
具体的に、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
清潔な飼育環境を保つ
アレルギーや感染症が原因で鼻づまりを起こして口呼吸になる場合には、飼育環境を清潔に保つことで予防が可能です。
室温・湿度を一定に保つ
猫ちゃんの飼育における適切な室温は22~25℃、湿度は50~60%です。
エアコンやサーキュレーターなどを利用して、過ごしやすい室温・湿度を保ってあげましょう。
直射日光が当たらない場所を確保してあげることも大切です。
参照:環境省|ペットの熱中症と対策 p21 熱中症にならないように気を付ける事>
余計なストレスをかけない
猫ちゃんにとって過ごしやすい環境を提供してあげるのは、飼い主様の務めであるといえます。
掃除機のような大きな生活音に慣れてもらうことも大切ですが、無理に慣れさせようとすると、大きなストレスになってしまいます。
余計なストレスを与えず、猫ちゃんが静かに暮らせる環境を整えてあげましょう。
猫の口呼吸は同心動物医療センターへご相談ください
猫ちゃんをはじめ動物たちは、不調があっても隠そうとします。
不調に気づくためには、飼い主様をはじめとして、飼育に携わる方たちが普段から様子を観察し、異変に気付いてあげることが大切です。
猫ちゃんの口呼吸は、病気が隠れているサインの一つです。
病気が原因で猫ちゃんが口呼吸をしている場合には、症状が進行している可能性が高いため、早めの処置が必要になります。
しばらく様子をみておかしいなと感じたら、動物病院で診察を受けましょう。
大阪市北区天満、桜ノ宮の【同心動物医療センター】では、猫ちゃんの口呼吸をはじめ、さまざまな病気・症状に対応しています。
心電図モニターや酸素ゲージなど、緊急時の容態を確認・確保するための設備も整っています。
夜間救急や日曜日の診察も行っておりますので、急な体調変化があらわれたときには、当院をご利用ください。
通院の際は、WEBでの診療予約が便利です。
夜間救急の場合は、お電話にてご予約をお願いいたします。