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【天満の動物病院】うさぎやハムスターは要注意!伸び続ける歯が引き起こす不正咬合

こんにちは。
大阪市北区の【同心動物医療センター】です。

 

今回は、うさぎやハムスターの病気についてお話しします。
うさぎやハムスターの病気で多いのが、歯のトラブルです。
その中でも、高い割合で発生するのが不正咬合というかみ合わせの問題です。
飼い主様にとって大切なペットであるうさぎやハムスターが健康で暮らすために、不正咬合の原因や予防策をお伝えします。

 



院長

院長 中島 健介

医院名:同心動物医療センター
所在地:〒530-0035
大阪府大阪市北区同心2丁目15−4



 

うさぎやハムスターの歯は伸び続ける?


うさぎやハムスターといえば、口元からのぞく前歯が印象的ですよね。
うさぎやハムスターはげっ歯類に分類され、一生歯が伸び続ける動物です。
歯が伸び続けなければならないくらい、自然下では歯の使用頻度が高い生活をしています。

 

うさぎやハムスターの歯の構造

うさぎやハムスターの歯は、どのような構造で、伸び続けるのでしょうか。
うさぎとハムスターの歯の伸び方には、それぞれ特徴があります。

 

うさぎの歯の構造

うさぎの歯は全部で28本ですが、上顎の歯の数と下顎の歯の数が異なるのが特徴です。
上顎には、正面に大きな前歯(切歯)が2本あり、そのすぐ後ろに歯(小切歯)が2本生えています。
そして、その奥にある奥歯(臼歯)は片側6本、計12本です。
下顎は、正面に前歯が2本あり、奥歯が片側5本、計10本生えています。
うさぎは繊維質の硬いものが主食となるため、これらすべての歯が伸び続けるのが、うさぎの歯の特徴です。
うさぎの歯は、上顎の切歯が2mm/週、下顎の切歯が2.4mm/週のペースで伸びていきます。

 


参照:J-STAGE|動物臨床医学|ウサギの臨床検査とX線検査 p39>

 

ハムスターの歯の構造

ハムスターの歯の本数は、うさぎよりも12本も少なく、全部で16本です。
特徴的な大きな前歯が上下の顎に2本ずつ、奥歯(大臼歯)が3本ずつで、うさぎにくらべると簡単な構造です。
ハムスターは、すべての歯が伸び続けるのではなく、前歯のみが伸び続けます
前歯で硬いものを細かく砕いてから奥歯ですりつぶすため、そのために必要な前歯のみが伸び続けるのです。

 

歯が伸びすぎるとどうなる?

うさぎもハムスターも、歯が伸び続けるとかみ合わせのバランスが取れなくなり、うまく食事をとることができなくなります。
また、歯の伸び過ぎでお口が閉じなくなることもあります。
お口が閉じないことによって、よだれが出てくるようになり、皮膚炎につながることもあるのです。
歯の伸び過ぎによる不正咬合は、健康維持にさまざまな影響をおよぼすようになります。

 

 

不正咬合になる原因

うさぎやハムスターが不正咬合になってしまう原因はなんでしょうか。
不正咬合の原因はいくつか考えられており、食事の仕方や遺伝、飼育環境などがあげられます。
それぞれ、詳しくみていきましょう。

 

食事によるもの


うさぎとハムスターの野生下とペットとしての食事内容の違いによって、不正咬合が引き起こされます。
うさぎとハムスターの食事内容の違いをまとめました。

 

うさぎの場合

野生のうさぎは、草や植物の芽だけでなく、食べるものがなければ樹皮や枝まで食べます。
進化の過程で繊維質の多い硬いものを食べてきたため、生きている間に擦り減らないように、すべての歯が伸び続けるのです。
ペットとして飼われているうさぎは、主食はラビットフード(ペレット)で、副菜として乾草や野菜などをあげる飼い主様が多いのではないでしょうか。
ラビットフードは栄養価が優れた主食です。
しかし、ラビットフードは臼歯ですり潰したときにすぐに砕けてしまうため、歯の長さを適切に保つまでの役割は果たせないのではないかと検証されています。

 


参照:J-STAGE|動物臨床医学|ウサギの食餌管理 p4>

 

ハムスターの場合

ハムスターの場合は、野生下では植物の葉や実、果実、昆虫などを食べます。
前歯が発達して伸び続けるのは、硬い殻を砕いて中のやわらかい実を取り出しやすくするためです。
ペットの場合では、やはりうさぎと同様にペレットが主食となります。
こちらも、ハムスターの伸び続ける前歯に影響を与えられるほどの硬さはないため、不正咬合を引き起こしやすくなるのです。

 

遺伝によるもの

うさぎもハムスターも、遺伝的に不正咬合になりやすい個体がいます。
うさぎやハムスターの顎のずれはわずかで、見た目にはほとんどわかりません。
しかし、歯が伸びてくるとかみ合わせが悪いために歯同士が摩耗せず、そのまま伸び続けてしまうのです。

 

飼育環境によるもの


金属のケージで飼育している場合にケージをかじったり、高所からの落下で歯が折れてしまったりした場合には注意が必要です。
そのときのケガが原因で、歯が伸びてきたときに不正咬合を引き起こす場合があります。
また、うさぎやハムスターが高齢になると、次第に歯がもろくなり折れやすくなることによって、不正咬合を引き起こしやすくなります。

 

 

不正咬合でみられる症状


不正咬合を放置すると、食事がうまく取れない以外にどのような症状がみられるのか、おもな症状を以下にまとめました。

 

・食欲不振から栄養失調になる
食餌をうまく取れないことで、やわらかい食べものを好むようになったり、そもそも食べる量が減ったりして、栄養が偏り始めます。
便の量が減り、繊維質の不足から消化不良を起こしやすくなり、下痢へとつながるのです。

 

・伸びすぎた歯が歯ぐきや骨にささる
伸びすぎた歯は、基本的には途中で折れることはなくさらに伸び続け、歯ぐきや唇、顎の骨に刺さります。
歯が刺さることによって出血し、炎症を引き起こし、組織が化膿してしまうのです。
下の歯が伸び続けた場合にはお口の中から目の近くに刺さることもあり、目が飛び出したり、炎症によって涙が止まらなくなったり、膿が出たりします。

 

・毛づくろいができなくなる
うさぎやハムスターはきれい好きで、頻繁に毛づくろいをします。
しかし、不正咬合によってうまく毛づくろいができなくなると、皮膚に汚れがたまりやすくなり、毛づやが悪くなったり、皮膚病を引き起こしたりするのです。

 

うさぎやハムスターの不正咬合は、食事だけでなく、全身の健康にまで影響をおよぼしてしまうのです。

 

 

不正咬合の治療はどうするの?


不正咬合が起きてしまったら、放置していても治ることはないため、伸びすぎた歯を切断します。

 

うさぎやハムスターの前歯であれば、専用の器具を使って麻酔なしで切断することがほとんどです。
歯の切断は、ご自身の判断で行わず、動物病院で行いましょう
歯の断面が整わずケガをする原因になったり、切り過ぎて出血したりする可能性があるためです。
うさぎの奥歯の場合は、安全性を考慮し、全身麻酔を施してから切断します。

 

不正咬合は、一度起きてしまうと繰り返す恐れがあります。
定期的に動物病院で歯の伸び方をチェックしてもらいましょう。

 

 

不正咬合を予防するには


うさぎやハムスターが不正咬合になってしまう前に、予防策を講じることが大切です。
不正咬合の予防には、以下のような方法があります。

 

・食事の内容を変える
うさぎでは、ペレットではなく乾草を中心にした食事に切り替えてみましょう。
幼いころから乾草を食べているうさぎには、臼歯の不正咬合が少ないことも報告されています。
かじり木を入れてあげるのも有効です。
ただし、乾草だけでは必要な栄養が偏ってしまう場合もあるため、ペレットも適度な量を与えてあげましょう。

 


参照:J-STAGE|動物臨床医学|ウサギの食餌管理 p4>

 

ハムスターの場合は、ペレットをハードタイプのものに変えたり、硬い枝をケージに入れたりして、かじれるようにしてあげます。
枝以外にも、木製の小屋やおもちゃなどもかじることができるのでおすすめです。

 

・金属製のケージをやめる
ハムスターの場合は、水槽タイプのケージでの飼育が、歯のケガを防止するのに役立ちます。
ただし、夏は通気性が悪く湿気がこもりがちになるため、注意が必要です。
また、うさぎもハムスターも狭い空間にいるとストレスがたまり、かじり癖が強くなります。
身体の大きさにあったケージを用意し、適度に広い空間で遊ばせることも大切です。

 

・落下によるケガを防ぐ
高いところから落ちて歯が折れてしまう場合があります。
飼育時や遊ばせるときには、高い場所は避けましょう。

 

 

うさぎやハムスターの歯のトラブルはご相談ください


うさぎやハムスターの不正咬合は、放っておくと重大な症状へとつながります。
歯が伸びすぎていたり、おかしな方向へと伸びていたりしたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
また、ペットとして飼われているうさぎやハムスターは、不正咬合だけでなくむし歯になることもあります。
これは、糖分の多いおやつや果物が原因です。
むし歯になると、痛みで食欲不振になったり、元気がなくなったりします。
うさぎやハムスターにとって、歯はとても大切な器官です。
食事の量が減っているときには、早めに診察を受けましょう。

 

JR大阪環状線「天満」駅から徒歩8分の【同心動物医療センター】では、うさぎやハムスターの歯の診療が可能です。
うさぎやハムスターの歯の異常を見つけた場合には、当院へご相談ください。
当院は日曜も診療しており、急患や夜間救急にも対応しています。
ご予約は、24時間受付可能なWeb予約をご利用ください。

 


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