こんにちは。
大阪市北区の【同心動物医療センター】です。
ワンちゃんの身近な病気の一つに、フィラリア症があります。
フィラリア症は、感染すると命にかかわる病気の一つで、蚊に刺されることで感染するため、夏場は特に注意が必要な病気です。
今回は、ワンちゃんのフィラリア症について、予防の方法や予防する時期などをお伝えします。
フィラリア症は、予防できる病気です。
大切なワンちゃんを、フィラリア症の予防で守りましょう。
院長 中島 健介
所在地:〒530-0035
大阪府大阪市北区同心2丁目15−4
Contents
蚊が発生する春から秋は毎月一回のフィラリア予防を忘れずに!
フィラリア症は、蚊に刺されることが原因で、寄生虫に感染する病気です。
「うちは完全室内飼いだから大丈夫」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、屋内であっても蚊に刺される可能性は十分にあります。
外出から帰ってきたときなどに、蚊が一緒におうちの中に入ってしまうことがあるからです。
フィラリア症は、毎月一度のお薬の投与で、100%防ぐことができます。
フィラリア予防の基本は、蚊が発生した1ヶ月後から蚊がいなくなった1ヶ月後までです。
予防薬は、決められた期間、毎月投薬します。
蚊の発生といえば夏なのに、なぜ投薬するのは夏だけではないのでしょうか?
それは、蚊の活動が最も活発になるのは夏ですが、春から秋にかけても、蚊は活動しているからです。
蚊の活動は温度に関係していて、約10℃以上の気温のときに活動が活発化します。
ちなみに、真夏の高温や、反対に冬のように気温が低い場合には、蚊の活動は鈍くなります。
特に、近年は春や秋であっても温かい日が多いため、蚊の活動期間も長くなりがちです。
蚊の活動が活発化しやすい春から秋にかけて毎月投薬して、フィラリア症を予防しましょう。
参照:J-STAGE|動物臨床医学|犬糸状虫および犬糸状虫症に関する犬の飼い主の知識と意識-犬糸状虫症予防薬の適切な投与を阻害するリスク要因の抽出-p98 Fig.8、p101 考察>
参照:J-STAGE|日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集集|野外の低温条件下におけるアカイエカとチカイエカの吸血活動>
フィラリア症はどんな病気?
フィラリア症とは、犬の代表的な寄生虫感染症の一つです。
「犬糸状虫」という白く細長い形をした寄生虫の幼虫が、犬が蚊に刺されることで犬の身体の中に侵入します。
感染初期には目に見えるような症状は見られず、感染したことに気づきにくいのが特徴です。
幼虫は少しずつ成長して、やがて血管を通り、心臓や肺に向かって移動します。
心臓や肺の血管に到達した犬糸状虫は、心臓や肺の正常な動きを邪魔してしまいます。
以下のような症状が、フィラリア症の特徴です。
・犬が乾いた咳をする
・元気がない、食欲がない
・散歩や運動を嫌がるようになった
・お腹がふくれてきた
・便に血が混ざっている
・尿が赤い
・黄疸(白目や歯ぐきの黄ばみ)が見られる
・呼吸が苦しそう
・チアノーゼ(舌や歯ぐきが青ざめている)が見られる
フィラリア症は、放置するとやがて心不全や肺機能障害によって死に至る病気です。
定期的な予防で、大切なワンちゃんをフィラリア症から守りましょう。
フィラリア症の予防の方法
フィラリア症を予防するには、春から秋にかけて、毎月一回、予防薬を与えます。
蚊が発生する時期は、住んでいる地域によって前後することがあるため、お薬を与えるときは獣医師と投薬時期を確認しましょう。
たとえば、年中暖かい地域であればより長い期間、または通年のフィラリア症予防が必要です。
予防薬は、お薬を与えた日を記録して、1ヶ月の間隔を守って忘れずに投薬しましょう。
フィラリア症の予防薬というのは、病気を未然に防ぐのではなく、蚊から感染した犬糸状虫の幼虫を駆除するためのお薬です。
フィラリアの症状が出る前に対処するためのお薬で、定期的な投薬で、犬糸状虫の幼虫が心臓や肺に到達するまでに駆虫することができます。
フィラリア症の予防は何歳から?
フィラリア症の予防は、生涯必要です。
ただし、生後すぐの子犬には必要ありません。
その理由は、犬糸状虫の幼虫が成虫になるまでは、約半年の期間が必要だからです。
フィラリア症の場合、感染してすぐに症状が出るわけではないため、成虫が心臓や肺動脈で悪さをするまでに駆除を行います。
また、フィラリア症は母子感染しないと考えられている感染症です。
ちなみに、母犬が過去にフィラリア症にかかっていた場合には、出産後40日ごろまでは、母乳中に抗体が検出されます。
子犬の身体の中には、約2ヶ月間、母犬からの抗体が残ります。
参照:J-STAGE||犬糸状虫感染の免疫学 p782 犬糸状虫特異抗体の母子間移行>
子犬が母犬から授乳してもらっている間は、母犬からのさまざまな抗体を受け取っている期間です。
必要以上に投薬することは控えましょう。
フィラリア症の予防は、一般的に離乳後から検討します。
蚊の活動が活発化する時期などを考慮し、獣医師と相談して投薬を開始する時期を決めましょう。
フィラリア予防の前には検査が必要です
フィラリア症の予防を行う前には、すでに犬糸状虫に感染しているかどうかの検査を実施します。
検査には、おもに血液検査が用いられます。
フィラリア症の予防薬は、体内に潜む犬糸状虫の幼虫を駆虫する薬です。
もしも、すでに犬糸状虫に感染していて、体内に大量の幼虫がいた場合に駆虫薬を使用すると、以下のような症状がみられることがあります。
・虫の死骸で血管がつまる
・血圧の低下などのショック症状が起こる
・最悪の場合は死亡する可能性もある
予防薬を投与することで命にかかわる危険性があるため、必ず検査を受けてから予防を行いましょう。
検査の結果、陽性だった場合には、別の治療が必要です。
予防を忘れてしまったらどうしたらいい?
フィラリア症の検査を実施した後、継続して予防している途中で予防薬の投与を忘れてしまった場合、数日の遅れであればすぐに投薬すれば問題ありません。
もしも1ヶ月以上、投薬の期間が空いてしまった場合は、動物病院で再度検査を受けてから予防を再開します。
これは、投薬を忘れていた空白の期間に幼虫が成長している可能性があるためです。
もしも幼虫が成虫になり、心臓などに寄生していた場合や、卵を産んで幼虫が大量に孵化していた場合には、予防薬を投与することでショック症状が起こる可能性があります。
予防薬自体が効かない可能性も出てきます。
ワンちゃんの身体に負担をかけないために、必ず検査を受けてから投薬を再開してください。
その年の予防を忘れていて、開始時期が遅くなってしまった場合も同様です。
フィラリア症の薬の種類
フィラリア症予防のお薬には、錠剤やチュアブル、滴下薬、注射といった複数のタイプがあります。
錠剤
そのまま飲み込ませるか、ご飯やおやつに混ぜて与えます。
食物アレルギーがあるワンちゃんや、皮膚アレルギーがあるワンちゃんにも使用することが可能です。
すぐに吐き出してしまうワンちゃんには不向きといえます。
チュアブル
予防薬を練り込んだおやつ状のお薬です。
飲み込ませる必要がないため、手軽に投薬することができます。
食物アレルギーがあるワンちゃんには、注意が必要です。
滴下薬
首の後ろ側にお薬を滴下して、皮膚から吸収させて予防します。
お薬を飲み込むのが苦手なワンちゃんや、食物アレルギーがあるワンちゃんに向いています。
注射
動物病院では、注射によってフィラリア症の予防をすることも可能です。
年間を通して予防可能なお薬もあるため、頻繁な予防をしなくてよいのがメリットです。
ただし、注射型の場合はフィラリア症の予防のみしかできないため、ノミ・ダニ予防も一緒に行いたい場合には、注射型以外の投薬がよいでしょう。
また、副反応の危険性があるので、子犬や老犬、妊娠中の犬には使用できません。
猫もフィラリア症になる?
猫も犬糸状虫に感染することはあります。
しかし、犬と比べると感染率は1/100程度と、かなり低いのです。
参照:J-STAGE||犬糸状虫感染の免疫学 p782 犬糸状虫の宿主適応性 >
感染した場合、幼虫が猫の体内で生きながらえることはまれで、検査をしてもはっきりと結果がわかる場合は少ないのです。
幼虫が肺に到達すると、肺に炎症が起きて呼吸が荒くなるといった症状がみられます。
死んだ幼虫が血管に詰まって突然死することも、ごくまれにあります。
犬と比べて感染リスクはかなり低いのですが、心配な場合は、動物病院で予防を受けましょう。
フィラリア予防は同心動物医療センターへご相談ください
桜ノ宮の【同心動物医療センター】では、ワンちゃんのすこやかな暮らしのために、フィラリア症を含む寄生虫感染の年中予防を推奨しています。
年中予防によって、ワンちゃんの健康だけでなく、一緒に暮らす飼い主様の健康を守ることにもつながるのです。
当院では、フィラリア症・ノミ・マダ二などの予防が一度にできるオールインワンタイプの駆虫薬を扱っております。
ワンちゃん・猫ちゃんの寄生虫予防を考えられている方は、お気軽にご相談ください。
4~5月末までの期間は、予防薬推進キャンペーンを実施しています。
12ヶ月分の予防薬を購入された方は、年間の爪切り・耳処置・肛門絞りを何度でも無料で受けていただくことが可能です。